CISCOの認定資格「CCENT(ICND1)」抑えておきたい特徴と対策
先日CISCOの認定資格であるCCENTに合格しました。
「ネットワーク系の資格としては入門」だという情報を入手していたのですが、はっきり言ってOracle Goldよりもはるかに難しい試験だったと思います。
後程くわしく紹介しますが「ping-t」という対策サイトに設置されている掲示板でも「何で合格したのか判らない」という書き込みが多くみられます。
合格した私自身もまったくの同感です。
私は特にネットワークの実務に携わっていたわけではないので、ほぼゼロから勉強し始めました。
とはいっても応用情報は取得しているので、2進数が~とかいう基礎の基礎は身についていると思います。
そうは言っても専門的にはやっていなかったので、「これから始めるぞ!」という人でも合格できるように、私が実際にCCENTをとった勉強方法をご紹介していきます。
CCENT(ICND1)とは?
ネットワーク系の会社CISCOの機器を取り扱えますよというベンダー資格です。
公式サイトを読めばわかるのですがざっくり言うと「ネットワークの入門資格」にあたります。
要はCCENTとはネットワーク系で手始めに取る資格なわけです。
Oracleデータベースだと"BronzeのDBA"にあたりますね。
CISCO公式サイト
この記事のタイトルとこの見出しに「ICND1」と書いています。
CISCOの認定資格にはグレードが存在しています。
【グレード概要(上が上位資格)】
CCAr :アーキテクト
CCIE :エキスパート
CCNP :プロフェッショナル
CCNA :アソシエイト
CCENT :エントリー
グレードを見ても分かる通りCCENTが一番下のCISCO認定資格になります。
CCENTの次がCCNAという資格に当たりますが、CCNAの取得方法は複数あるのです。
CCENTはCCNAの前座
「CCENTの話ちゃうんかい」と思われる方もいるかもしれませんが、CCNAの話をせずに先には進められません。
なぜなら「CCENTだけとっても意味がない」からです。
資格をとる理由はいくつかありますよね。
「就職したい」
「社内の評価をあげたい」
「転職したい」
いずれの場合でも簡単すぎる資格では何の評価もされません。
そしてCCENTは残念ながらCISCOのグレードとしては「簡単すぎる資格」に相当するのです。
ですので、最低でもCCNA。
可能ならCCNPまでは取得を目指すべきです。
もちろんもっと上位資格を目指す方が好ましいですよ。
CCNPまでは必要ないと思われるのであれば、おそらくCCENTも不要でしょう。
というわけで、CCNPを一旦の目標とします。
するとCCNPを受験するには「CCNA」の取得が前提条件になっています。
なのでまずはCCNAを取りたいところなのですが、CCNAに2つの受験方法が存在しています。
CCNA認定方法一つ目。
1発受験。
200-125J CCNAという試験を受験し、合格すれば即CCNAを取得できるというものです。
CCNA認定方法二つ目。
2回に分けて受験。
・100-105J ICND1
・200-105J ICND2
この二つの試験に合格することでCCNAとして認定されます。
「受験料がもったいないから」という理由であれば一つ目の方法を選んだ方がいいですが、私が調べたところによると「初心者では厳しい」っぽいです。
なので私は二つ目の方法を選びました。
ICND1という試験に合格するとCCENTを取得できるのです。
Oracle BronzeだとDBAとSQLの二つに合格しなければならず、片方だけ例えばDBAだけ取得しても資格としては認められません。
しかしCISCOの優しさで片方のICND1に合格するだけでも資格として認めてくれるのです!
それがCCENTになります。
CISCOのグレードには"エントリー"と分類されていましたが、CCNA取得の前提条件になっているので、まさに入門資格となるのです。
CCNAをICND1・ICND2に分けて受験するメリット
これは単純明快です。
「1回あたりの試験範囲が狭くなるから」
実機に触りまくっていて自信があるとかでもない限りは分割して受験した方が良いでしょう。
ping-tというサイトがおすすめなのですが、このサイトの問題数が膨大です。
ICND1:900問
ICND2:690問
CCNAを一発受験するとなるとICND1とICND2の両方が範囲になるので、1590問をしょっぱなから解けるように勉強していかないといけません。
いやー、心折れるでしょ。
なので、とりあえずは900問で済むようにCCENT(ICND1)から受験していくことをおすすめします。
CCENTの対策
では、試験対策の説明に入ります。
実際に私がこれで合格できたので、おそらく同じようにすれば合格ラインには乗ることと思います。
なぜ「合格できる」ではなく「合格ラインにのる」なのかについても説明していきますが、とりあえず試験対策を紹介します。
私がしたのは2ステップです。
STEP1:白本を読む
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STEP2:ping-tの問題をこなす
ネットワーク系の知識がほぼ白紙だったので、とりあえず白本で基礎知識を勉強しました。
いきなり問題をするよりも理解力があがると考えたからです。
白本は参考書がメインですが章末問題や模擬問題も記載されています。
なので、白本の参考書を読みながら、記載されている問題をすべて解くというのがSTEP1です。
次がメインでping-tというサイトでひたすら問題を解いていきます。
ICND1だけでも900問あります。
このping-tの問題は白本を読んだ後でもスラスラとは解けません。
間違えるの前提で解いていきましょう。
かならず解けるようになってきます。
ping-t公式サイト
ping-tでは問題を間違えると銅色、正解すると銀色、連続で正解すると金色のメダルがつきます。
なのですべて金色のメダルがつくまで解いてください。
これができてからping-tの模擬問題に入ります。
模擬問題といっても出題されるのは同じ問題になるのですが、これがなかなか満点には達さないです。
どこか間違ってしまうんですよね。
なので私はping-tの模擬問題では9割り越えを目指すようにしました。
テスト前日では5回以上模擬問題をしてすべて90%を超えるぐらいにはやりこみました。
実はping-tのサイトはCCENTの範囲だと無料で使えます。
ただし、私は有料にすることを強くおすすめします。
有料にすると「コマ問プレミアム」「簡易シミュレータ(ルータ版)」「簡易シミュレータ(スイッチ版)」とうのが使えるようになります。
ここが無茶苦茶大事です。
はっきり言って参考書を読んだり、問題を解いたりするだけではコマンドの細かいところまでは覚えられません。
選択問題であればなんとかなるのですが、CISCOのCCENTには入力問題がでてきます。
シナリオ問題、シミュレーション問題というものです。
これらは実際にコマンドを入力しないといけないので、確実にコマンドを打てるようにしておかなければなりません。
なので、無料版の問題にプラスして有料版の問題も解いておかなければ、初見だと確実に解けないです。
ある程度問題が解けるようにした時点で有料版にして、シミュレータを使ってみましたがパにくりました。
おそらく本番だったとしたら落ちていたことでしょう。
絶対にコマンドの練習はしておいてください。
CCENT試験の特徴と対策
白本、ping-tで勉強をすると説明しました。
では次に「合格のボーダーに乗る」と書いたことについて説明します。
CCENTを受験して「何で合格したのか判らん」というのが正直な感想です。
それはCISCO独特の問題にあります。
実際に受けてみてCISCOの試験の特徴とある程度のコツがあるので参考にしてみてください。
1.CISCO語なるものが存在する
ネットで事前に調べていると「CISCO語」というモノがあるというのを見かけました。
これは言語が存在するのではなく妙な翻訳がされているという意味です。
日本語がおかしくて判断に迷うところがありました。
これは正直なところ問題文は変えようがないので、CISCO語を受け入れるしかありません。
もしCISCO語に直面したら「用語系なら日本語を英語に替える」「文章なら都合のいいように読む」。
これをしておけば「何となくこうかな?」と解釈がつけられます。
2.初見の問題が多数出る
白本の問題を解けてping-tも9割とけるようにもなった状態で臨んでも問題の半分は勘で解きました。
あまりの初見問題の多さに途中であきらめそうになったぐらいです。
それでも消去法で考えれば「2択には絞れる」ようになっています。
あとは勘を信じで進むしかありません。
最終的には勘頼みになってしまいますが、CISCOの試験で消去法はかなり有効です。
3.シナリオ・シミュレーション対策コマンド
シナリオ問題、シミュレーション問題はかなりの高配点だというのをネットでよく見かけました。
中には「シナリオ問題をすべてミスすると不合格確実」とまで書いている方もいたぐらいです。
それはオーバーにしても高配点なので落とすわけにはいきません。
そこでまずはシナリオ問題について考えてみましょう。
これは通常の選択問題を積み上げたものだと考えられます。
通常問題は「showコマンドではこんな結果やけど、これはどういう状態でしょうか?」という聞き方をしてきます。
これが理解できていればシナリオでは自分でコマンドを打って、どんな状態かを確認するだけです。
なのでシナリオ問題だからといってそれほど気負うことはありません。
人によって変わると思いますが基本のshowコマンドを覚えていれば対応は可能だと思います。
【基本のコマンド】
show running-config
show ip interface
show interfaces
難しいのはシミュレーション問題です。
自分でコマンドを完全に打たなければな内問題です。
これは私の場合出ませんでした。
白本に載っていたシミュレーション問題だと「ACLを作成・適用せよ」みたいなものがあったのですが、本番ではそれ系の問題には当たりませんでした。
でも、たまたま私がでなかっただけで、対策をしておく必要はあります。
すでに紹介しましたが、ping-tのコマ問とシミュレータ問題です。
おそらくこの辺りをクリアしておけばシミュレーション問題にあたったとしてもすべて落とすという状態にはならないはずです。
4.「Tab」「?」「短縮コマンド」が使える
不安でいっぱいになると「何か裏技はないか」と考えてしまうのが人情。
調べていくと「Tabキーが使える」「?が使える」「短縮コマンドが使える」というのが見つかります。
「これらを駆使しましょう!」とかいう記述はあるのですが、初心者の私には「え、どうやって使うん?」としか思えませんでした。
そこでping-tのシミュレータが役に立ちましたよ。
Tabキー:
これはキーボードのTabを押すと「コマンドの入力補完をしてくれる」という意味です。
例えば「show int」まで入力してからTabキーを押すと、「show interfaces」と自動で入力してくれます。
候補が複数あると上手く補完してくれないので、ある程度入力しておいた方がいいでしょう。
?キー:
これも同じくコマンドを入力してからキーボードの「?」を押すと「入力候補と説明文を表示してくれる」のです。
同じ例で「show int」を入力して「?」を押すと「interfaces interface status and configuration」とコマンドの続きと説明文が表示されます。
続くコマンドが複数あれば複数表示されます。
短縮コマンド:
CISCOのコマンドはフルでいれると長いのですが、短縮することが可能です。
これは正直かなり使えるので、いくつか例をあげておきます。
・show running-config → show run
・configure terminal → conf t
・interface fastethernet 0 → int fa 0
・interface serial 0 → int s 0
試験では時間制限があるので極力短縮コマンドを使った方が無難です。
5.CISCOの試験は時間が足りなくなる
CCENTは90分で試験を解きます。
事前調査では「時間が足りなくなる」というのをよくみかけましたが、私はそこまで気にしなくていいと思います。
ping-tの模擬試験では60問を30分で解けるようになっていました。
(正解率は9割ぐらいですが。。。)
本番では54問だったのですが、慎重にいっても60分で試験が終わりました。
なので30分はゆとりがあったわけです。
CCENTはほぼ選択問題です。
判らない用語問題が出たら考えても無駄。
さっさと勘で解いてから進みましょう。
シナリオ問題、シミュレーション問題に時間を掛ければいいのです。
6.見直しが不可
これが驚きなのですが、CISCOの試験は戻れないのです。
ping-tの模擬問題を解いていて「まさか」と思って調べていたのですが、実際に受験するまで信じられませんでした。
まさかの「次に進むと戻れない」。
大体で解いておいて後で見直すというのができないです。
なので、時間がかかるであろうシナリオ、シミュレーション問題を後回しにもできないので、勇気を出して時間をかけましょう。
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